勝利の女神には後ろ髪がない。

チャンスとは常に一瞬だけ僕らに与えられるもので、何かを必要以上に時間をかけて検討したり、不要にリスクを警戒しすぎたりしていると、すぐに消えてしまう。それは、ビジネスであっても、投資であっても、恋愛であっても同様だ。最も恐るべき後悔は、そのチャンスを逃してしまうことである。僕はまた愚かなミスをしてしまった。

合コンに遅れていったときのことだ。すでに場はできあがっていたのと、男女比に大きな差があったこと(当然、男が多い)、 知り合いがほとんどいなかったことから、僕はすぐに帰るべきかどうか迷った。だが幹事と少し話した結果、結局知らない人だらけ(他の人はお互いに知り合い)の中には座ることにした。

かなり不利な状況だと思ったが、僕の登場が意外にも場に風を呼んだらしく、話すことやることにみんな食いつき、思ったよりウケを取ることができた。斜め前の女の子は僕の方に指を刺し、あの人おもしろ~い、と叫んだりもした。 その女の子は合コンにいた一番可愛い子だった。

そんな感じで調子にのりウケをとっていると、いつの間にかその女の子が僕の隣に座っていた。時々、僕にちょっかいを出す。 いえ~い(酔)、と叫びながら何度か僕に寄りかかってきた。なぜ、僕はここでスイッチをきりかえられなかったのかわからない。他の人と話している途中だったというのもあるし、無意識で2次会でも何とかなると思っていたのかもしれないし、連絡先を交換すれば後日デートにいけると高をくくっていたのかもしれない。

結局、そのあとあまりその女の子とはからまずに解散になった。帰り際にあとで連絡先をきいて僕の携帯にLINEのIDを打ってもらった。だが、IDは見つからない。あれ~またあとで試してみてー。と彼女は言う。僕は少し焦ってきた。2次会はなさそうだから、彼女に飲みを打診する。彼女は承諾しない。一緒にきた女の子と別の場所に行くそうだ。

僕はなんとかそれを阻止して、一緒に近くで飲もうといった。その友達がいても構わなかった。まだチャンスはあると思った。う~ん、と迷っている様子を見せながらも、タクシー乗り場の方に歩く女の子2人を僕は1人で追いながら、説得をつづけた。その時にふと振り返り、彼女は甘えるように言った。「タクシー代、出して~」

僕は虚をつかれた。彼女らは僕と飲みに行ったときの帰りのタクシー代ではなく、今から別の場所に行くためのタクシー代を要求してきたのだ。 僕は不意打ちを突かれた。断ることがすごく恥ずかしい事のように感じた。僕はお金を払い、彼女たちはタクシーにのった。僕は一人で帰ることになった。もちろん、その後もLINEのIDは見つからない。

つまり僕はほんの少し与えられたチャンスを逃してしまったのだ。残されていない可能性を追い求めたら、そんなものはない証拠を突きつけられるとともに、お金まで払わされることになった。僕はどうしょうもなく愚かだった。年の離れた女の子に騙された形になって、とてもなさけない気持ちになった。 

僕の犯したミスは二つあったんだと思う。第一に、準備を怠ったことだ。チャンスはほんのわずかしかないから、常にそのための心構えをしていなければならない。それを逃したら、もうチャンスはこないかもしれないということを肝に銘じなければならない。第二に、LINEのIDは自分の携帯に相手のIDを打ってもらうのではなく、相手の携帯に自分のIDを入れてメッセージをするべきだったのだ。ちゃんと連絡先をきけなかった事が僕を焦らせたし、2度目のチャンスを完全に無くすことになってしまった。

自分がコントロールできないところで、ものにできなかった事についてはあまりどうこう言っても仕方がない。恋愛には、そういうことが多々ある。ルックスが許容範囲でなかったとこか、大金持ちじゃなかったとか、若くないからとか。人の好みをいちいち説教したり(見た目やお金で人を判断するのはけしからん!とか)、世界のあり方を嘆いたり(結局、男は金なんだ。どうせ俺はダメだ。世の中なんでこうなんだろう。。とか)するのは、はっきりいって時間の無駄だ。

もっとも反省すべきなのは、自分のコントロールできる世界のなかで、ミスをおかすことなのだ。 もうこんなミスはしたくない。こんななさけない気持ちにもなりたくない。そして僕は決して諦めない。僕はこの過ちをかならず今後に生かしていくつもりだ。