金属加工機械大手のアマダという会社が非常に興味深い発表をした。なんと、純利益の全てを株主還元するとのことで、半分を配当、半分を自社株買いに回すそうだ。このニュースをうけて、株価は一気に急騰した。

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通常、税金などを差し引いた最終利益である純利益は、一部で役員報酬を払い、一部で配当などで株主還元し、残りを内部留保にまわす。ほとんど会社は銀行などから融資をうけているので、わざわざ銀行から金利を払ってお金を借りるよりも、利益を内部留保して投資に回す(あるいは借金を返す)というのは合理的だ。

ただ、今回のアマダのように実質無借金の会社は別だ。企業が 投資もしないお金を必要以上に溜め込んでも仕方がない。したがって、このような無借金経営の会社は、株主から「おまえ溜め込んでも投資しないんだったら、株主還元しろよー」ってプレッシャーをうける。それをうけたアマダが、「うん、わかった。もう溜め込まないで全部還元するね」と答えたのだ。

とても興味深いので僕も投資しようと思って、この会社の事を調べてみた。

破綻リスクは問題なさそう。
株価が紙切れになるような破綻リスクはほとんどない。だって借金してないし、だいぶキャッシュリッチだからだ。PBRが0.89倍で1倍を割れているということは、資産を全部うっぱらって、会社を解散したら、株主は今よりも儲かるということになる。まあ、そこまでではないけど、キャッシュリッチだし、仮に赤字が何回か続いたとしても倒産するようなことはほとんどないだろう。

割安度はいまいち。
PERは20倍そこそこ。つまり株価に対する最終利益は5%くらい、ということだろう。うーん、これ自体にはあまり魅力はない。700円あたりだったら、15倍くらいなので悪くなかったが。。このままの調子でいけば、2.5%が配当にまわり、2.5%は自社株買いにまわされるのだろう。果たして、このまま利益をキープできるのだろうか。

利益継続性はちょっと疑問。
僕はこのニュースまでは、アマダという会社を知らなかったが、金属加工機械で首位級の会社らしい。バフェットじゃないけど、流行りにのった会社よりも、このように渋い会社の方が個人的に信頼がおける。そして、実際に増収増益を続けている。ここまでは、とてもいい。
ただし、気になることが3点。一つ目は直近の売上の伸びはM&Aによるものが大きく、今後もこのような急成長は望めないのではないかという懸念があること。二つ目は利益の大部分は為替差益で、今季のような円安が継続的に続くとは思えないこと。三つ目はやはり日本市場そのものに、個人的に期待できないことだ。詳しくはいずれ議論するけど、僕はアベノミクスに懐疑的なのだ。

飛びついて買わないだけで、決して売り奨励ということではない。
僕は、この金属加工機会マーケットについて全然わからないし、アマダの競争力についても、全くの無知だ。また、会社の雰囲気やトップのキャラクターについても全然わからない。会社の資料を見て、自分なりに、まあ、あわてて買うこともないかな、と判断したに過ぎない。もっと詳しく調べて買い!という判断をする人もいるだろうし、売り!という判断をする人もいるだろうが、まあまあ、それは自分で判断して欲しい。

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