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わりと深刻な事件が起きました。横浜銀行とATMで取引した人の口座から預金が不正に盗まれました。これはとても重要な事件です。だって、あなたの預金かも知れないんですよ。あなたは全く悪くありません。パソコンにはウィルスソフトをいれてました、暗証番号はほぼほぼランダムの文字列です、ネットログインパスワードはむちゃくちゃ複雑でこまめに変えてました、って人もダメだったんです。なんせ、銀行のシステムを担当している人が不正をしてたわけですから。どうしようが防ぎようがありません。

これはカードが偽造されたというのと、口座から数千万円の預金が盗まれたという意味で、ビッグニュースになりました。でも、これはもっと大きな事を示唆しています。つまり、安全なんて所詮、確率の問題でしかないんだって事がはっきりしたわけですから。横浜銀行は超優良な地方銀行です。セキュリティーの意味では大手銀行と遜色ありません。でも、被害にあったのは、曾孫下請けシステム会社の社員が不正を行ったいたからなんです。状況なんてどこもかわりはないです。だって、どこ大手銀行も孫会社に普通に委託してますからね。たまたま、被害にあったのがあなただったのか、そうでなかったのかの違いに過ぎません。

ていうかそもそも僕らが勝手に信じている安全なんて、所詮運がいいか悪いかとか、あなたが騙されるに値するかどうかで決まったりします。ちょっと運が悪ければすぐに崩れるような類のとても脆い構造物ものなんです。話は変わりますが、個人情報も、人によっては簡単に取得できるんですよ。なぜかというと、世の中には情報を売る人というのがほぼ確実に存在するからです。

一般的にいうと、公務員とか、大手企業に勤めている人は、モラルがあるように思えてしまいます。大手銀行に預けていれば不正に引き出されたりして情報が盗まれたりはすることはまずないだろうとタカをくくってしまいます。でもですね、あんだけ人がいるんですよ、で、システムさわっていれば、外部の人かものすごく関わってきます。そしたら、もう、不正があるかどうかなんて確率の問題ですよ。人は都合が悪くなったら普通に悪いことをします。そういうもんなんです。

怖いかもしれませんが、普通の探偵だったら、あなたの名前と住所がわかれば、預金額なんて簡単に分かってしまいます。それは、 銀行にいる悪い人が情報を売っちゃうからです。あなたの情報も含めてです。それは悪いことですが、仕方のないことです。だって何万人もの人をあつめてきて、全員が完璧に善人なんてことありますか?ないんですよ。人は自分がピンチになったりしたら、不正を犯します。それを完全に防ぐ手段なんてこの世に存在しません。

 結局のところ、横浜銀行の事件はタマタマだったってことなんです。自分とは無関係の何かとおもったら、いつか致命的な大怪我をするかもしれません。完全に安全なところなんてない、ということを理解しがら、自分のことの大抵は自分で守って行く。結局のところ残された選択しというのはそれくらいしかないのかもりれません。 

11月1日にフジテレビは「ほこ×たて」が放送打ち切りを発表した。理由にについては今更繰り返すまでもないと思う。詳細は水島宏明氏の記事がよくまとまっていてわかりやすいので、事情をよく知らない人は一読してほしい。

僕はあまりテレビをみないのだが、この番組はわりと好きだった。自らの技術に自身のある人々がプライドをかけて、真剣勝負をするさまはスポーツを見ているようでとても面白いのだ。一度見た「絶対に誰にも開けられない金庫×どんな扉でも絶対に開けられる鍵師」の戦いでは、鍵師の真剣な眼差しと金庫の製造会社社長の不安な眼差しが、とても印象に残っている。

僕は人が真剣に取り組む時の眼差しが好きだ。バッターボックスにたつ野球選手、食材を見分ける料理人、被写体をみるカメラマン。真剣に物事に取り組むときの目というのは何故だかわからないがとても美しくなる。僕らが真剣勝負を望む理由にはそういう美しさを求める本能があるからなのではないだろうか。

また、どれほど自らに自信のある人でも、敗北の恐怖を感じる時もある。今までの努力をあざ笑うような現実が今まさに起こるのではないかという不安だ。そのような興奮もまた真剣勝負の醍醐味といえる。そういう
人間の本質を写す表情は真剣勝負でなければ垣間見ることができない一種の美しさのものなんだと思う。

「ほこ×たて」の(
すくなくとも)一部はヤラセであったことはとても残念だ。信頼を失った番組が打ち切りになるのは当然だろう。このことについて僕が考えたことは3つある。

1.ヤラセはメディアの存在意義を否定する大罪だ

なぜヤラセをしたのかというと、たぶん制作する側が、「そのほうが面白い、視聴率がとれる」と判断したためだろう。基本的に面白いものを作ろうと思うことは当然だし健全だといえよう。だが、それには絶対におかしてはいけないルールがあることに気をつけなければならない。

そのルールは、単純にいうと「やらせをしない」につきると思う。視聴者が真剣勝負だと信じているなら、それを絶対に裏切ってはならないのだ。仮にそれを裏切るようなことになれば、視聴者からの信頼がなくなり、その結果、"おもしろくなくなって"しまうのだ。制作者側が面白くしようと思ってしたヤラセが、自分の信頼を落とし、結果的につまらなくさせてしまうというのは皮肉な話だ。

たまにフジテレビが海外ミュージシャンを推している事や、バラエティでお笑いタレントがアイドルを過剰にいじったりすることと同列に並べられるが、それとは次元の違う話だということは言っておきたい。海外ミュージシャンが嫌われてたり、
バラエティに過剰な行動があれば、視聴者は離れていくだけだ。「ほこ×たて」の問題の本質は視聴者を騙したことにあり、放送の信頼を落としたことこそが大罪なのだ。

2.うまくいかなくなったときの行動で本質が問われる
一方で、制作者側がそのような行動にでた気持ちは、おなじサラリーマンとしては理解できなくもないというのが正直なところだ。

企画した対決が思ったほど面白くないことも現実にはあるはずだ。メジャーリーグやプレミアリーグの真剣勝負でも常に試合が面白いとは限らないのだ。だからといって製作者側としては、「今回はつまんないけどしょうがない」では済まなかったのだろう。
彼らには彼らの責任感がある。おもしろい作品を作って世の中から評価され視聴率を上げることが彼らの使命といえるからだ。


成果を上げることは重要だ。しかし、成果がでないときほど本当に守るべきものを守れるかどうかが、自らの本質を問われるところなんだと思う。うまくいっているときは何とでも言える。仕事が順調でお金をたくさん持っている人が不正を起こすことはほとんどない。問題は、なにもかもうまくいかないときに、自分を律することができるかどうかだ。

人間はみんな弱いので、不正の誘惑があたまをよぎることもあるだろう。でも、そこで負けてはいけないのだ。 今、うまくいっている人が上から目線で不正を批判していても、自分がうまくいかなくなったときに、同じような行動をとってしまないように肝に銘じておく必要があると思う。

3.勇気ある告発者を称えたい
最後にこの不正を告発した広坂正美氏には敬意を表したいと思う。不正を告発するというのは非常に勇気のいることだ。彼にもラジコンを世の中に広めたいという気持ちや仲間からの期待もあっただろう。製作者側との人間的なつながりもあったことだろう。不正があったからと言って、それを世の中に告発するというのはとても難しいことなんだと思う。


人は他人を非難するときは一般論を叫び、自分を擁護するときは個別論をもってくる。不正を公表できないのには理由があるんだよ。その時の空気ではどうしょうもできなかったんだ、住宅ローンを組んだばっかりで雇用をはずされるわけにはいかなかったし、不正をした人には個人的に恩があっただよ、等々いろんな理由を持ち出してくる。

自分が彼の立場なら告発できたかどうかよく考えて欲しい。相手はフジテレビ。公表しても世の中が味方してくれるかわからないが、フジテレビを大きく敵に回す。もしかしたら、ラジコン界や仲間にも迷惑をかけるかもしれない。仕事における自分の立場も危うくするかもしれない。そういう恐怖に打ち克ってみんなに真実をかたってくれたのだ。僕はその勇気についてとても感謝しているのである。

 

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