僕は「お金が全てではない!」「お金で買えないものもある!」という言葉には100%同意できる。人生にはお金以外にも大切なものはたくさんあるし、それらは大金を払っても得られなかったり、大金をもらっても譲れないものだったりするからだ。幸せとは、単純に経済的豊かさのみで決められるものではないのだ。

だが僕は「お金で幸せは買えない!」という言葉には同意できない。実際に僕はいくつかの幸せをお金で買っているし、もっとお金があればもう少し幸せになれるとも思っている。拝金主義に対するアンチテーゼなのか、お金のことをひたすら嫌悪すれば品位を保てると勘違いしている人もいるようだが、そういう人も実際は幸せをお金で買っているのだ。

僕はたまに焼肉を食べに行って、おいしいな、幸せだな、と思ったりする。これはまさしく幸せをお金で買っているといいっていいだろう。 焼肉を食べに行けるほどのお金を持つことができなかったら、この幸せを享受することができなかっただろうからだ。子供が病気になってしまい、それを治すには海外にいかなくてはならなくて、治療費が1000万円するとしよう。もし、十分なお金があったら子供を治すことができる幸せを得ることができるに違いない。

そもそも、理解しなければならないのは、僕ら日本人の大半は世界の中で極端な金持ちだということだ。教育を受けられ、様々な就業機会があり、安全で暮らしていけるのは、経済的な豊かさがあってのことなのだ。ただ、それに慣れてしまうと、それらがあたかも当たり前のように思えてしまうが、実は当たり前でもなんでもない。世界には教育を受けられない子供がたくさんいれば、焼肉を一生たべられない人だってたくさんいるのだ。

ものすごく裕福な家庭に育ち、あらゆるものを手にした人が「お金で幸せは買えない!」と言っても、あまり説得力はないだろう。僕ら日本人のほとんども実は同じだ。僕らは豊かな国に産まれて豊かでとても幸せだ。それはある程度の幸せをお金で買っているからにほかならないのだ。