■12月の雇用統計はびっくりするほど悪かった!

金曜日にアメリカで雇用統計が発表されました。その数字がむっちゃ悪かったためにドルが一気にどーんと売られちゃいましたね。

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それまで104.80-105.10くらいの動きだったドル円が、雇用統計の数字が出るなりいきなり105.20を超えたり103円台に途中入したりして、結局104.00-104.20くらいのレンジにかわりました。雇用統計の数字がいかに市場にインパクトを与えているかよくわかります。

ちなみに原因はアメリカの寒波です。まあ、こんだけ寒ければ外出を控えるだろうし、設備投資しようって気にもなりませんよね。



■ 雇用統計で初心者がまず押さえておくべきこと

投資の初心者の方はまずいくつかのポイントを押させておきましょう。雇用統計はアメリカで発表される景況感を表すマクロ指標などで最も重要な数字だと思ってください。小売業でも建設業でもいいんですが、やっぱり忙しくなってくると、「やべー、仕事まわらねー」ってなりますよね。そしたら「よーし、んじゃ、新しく人を採用すっか。」(悟空風)ってなります。これは景気のいい証拠ですよね。さらにそれで実際に採用されれば、失業してた人が、「やったー、やっと職につけたぞ。これでまともな生活ができるぜ!」っていうふうになってますます景気は改善していくわけです。

では、いつだれがどんな事を発表するんでしょうか。アメリカでは労働省が毎月原則第一金曜日のNY時間8:30に雇用情勢を発表します。いろんな数字があるんですが、とりあえず初心者は非農業部門就業者数と失業率だけは抑えておいてください。これはニュースでかならず言及される数字です。それ以外にも重要なポイントがあるんですが、とりあえずこの二つは覚えておいてくださいね。

アメリカは労働人口が増加している国です。ですので雇用者数が0というのはプラマイゼロではなくマイナスです。どのくらい増えていないといけないかというと、ざっくり10万人と覚えてください。これより大きければ基本的に景気は改善傾向、わるければ景気は悪化方向です。でも、それをクリアーしていればおっけーっていう単純な話ではありません。

アメリカの金融機関やシンクタンクなどは毎月雇用統計を予測します。雇用に関する他の情報や聞き取り調査とかを合わせて、予想値を発表します。トレーダーは各社の発表する予想値を見ることができますので、それらの平均などからコンセンサスをうかがい知ることができます。このコンセンサスというのが重要です。というのは、景気がいい時にはいい数字がでるのは当たり前です。問題はどの程度いいのかです。今回は、雇用者数のコンセンサスが20万人くらいと思ってたら実際は7万人くらいだったんで、うっっひゃーー、ってなったんですね。

ちなみに日本では雇用関係の数字がマーケットにインパクトを与えることはあまりありません。日本は雇用が硬直的なので、あまり増えたり減ったりもしないし、だからといって景気が安定しているかとそうでもないんですよね。景気が悪かったら人は減らさずに給料を減らすというのが日本です。アメリカとは全然ちがいますね。あと、日本は有効求人倍率と失業率が重要な数字とされています。

■ 初心者のための雇用統計の準備

1. 毎月第一金曜日までに雇用統計についてのコンセンサスを調べておく
これは普通にググれば出てきますのでそれを参考にしましょう。プロのトレーダーでも雇用統計を自分で予測するのはほとんど無理です。予想している人がいるとしたら、誰かのレポートを読んでいるかコンセンサスを適当に調整して言っているだけだとと思ってほぼ間違いないと思います。ですので、初心者は発表されるレポートとかをまずは鵜呑みにするしか方法はありません。

2. 雇用統計がそれをどれくらい上回るか下回るのかをドキドキしながら見る
コンセンサスとほとんど変わらなければ、発表前と後でおおきく市場は動かないはずです。大きくよければ基本的には株高ドル高になるでしょうし、悪ければその逆です。年に何回かは今回のようなサプライズがおきます。1年で1回もサプライズがないのは、逆に珍しいというか、そんなことはほとんどないと思ったほうがいいです。

3. その結果をどの解釈すればいいかを後で調べる
たまに雇用統計の内容とマーケットの反応が乖離することがあります。コンセンサスなのに売られたり、弱かったのに買われたりすることもたびたびあります。これはなぜそうなったのかをいろんな解釈を振り返りましょう。雇用統計は重要な数字なので毎回かならず大きな記事になります。ロイターブルーンバーグはプロのトレーダーもチェックしてるので、これを見るのがいいかと思います。

4. このプロセスを継続する
このようなプロセスを毎回やることで信頼できるエコノミストが誰かとか、他の重要な数字が何なのか(たとえば労働参加率) とかがわかるようになります。毎回の雇用統計について誰かの言葉を借りながらでも、ある程度語ることができたとしたら、あなたはもう初心者ではありません。逆にいうとマーケットのプロのほとんどはその程度さえ達していないんです。実のところ。